若さを保つ:その一
健康管理を十年単位で見る視点。
体内に宿る生命を守る治癒力とそれを助ける抗酸化作用とは
「若さを保つには、どうしたら良いか?」万人が知りたいことです。
適度な運動、オーガニック食品、ストレスの軽減。
こんな答えが一般的ですが、実はそう簡単じゃないのです。
結論を先に言うと、「栄養、ホルモンレベル、抗酸化作用を補給する」です。
健康を損なう原因は、大きく三つのカテゴリーに区分できます。
一つ目のカテゴリーは、日常生活の不摂生、暴飲暴食、働きすぎの疲れ、睡眠不足、人間関係のストレスなどです。
多くの人は、自分の現状を自覚することがまずありません。体調が変だなと思いながらも何も対処しません。仕事優先です。自分の意識を体調をチェックに向ける人は、ほぼ居ません。
お腹がでたり、肥満したり、疲れが続いても、放置してしまいます。
50才台の生活習慣の結果は60才台で現れます。60才台の生活習慣の結果は70才台で現れます。
こういう不調な状態を続けると、やがて二番目のカテゴリーに突入します。二番目のカテゴリーは病気です。
ほとんどの人は、病名が付けられて、初めてあわてます。
病気には、糖尿病、心臓病、肝臓病、腎臓病などたくさんの名前があります。病院ではいろんな名前を付けて分類しますが、病気のすべては毎日の生活習慣の結果です。疲労は、細胞が炎症を起こし酸化して、こわれて行くプロセスです。疲労を蓄積した結果、病名が付けられますが、病気とは、全て、細胞が炎症、酸化、壊れていくプロセスです。
毎日呑気にお酒を飲んでいた人が、病名をつけられると、あわてて医師に薬を求めます。でも飲酒の習慣を止める人は少ないです。毎晩美味しいものを腹一杯食べていた人が病名をつけられると、あわててクスリを求めます。でも全て自分の生活習慣の結果だったという反省をすることもなく、医師から薬をもらって安心すことが多いです。多くの人が、風邪を引いた時のように、薬をもらって治るのを待つ、この待つだけの態度が一般的です。
クスリは一時的な助けです。病気は、自分の生活習慣を振り返って修正しない限り完治しません。
薬を飲むのは簡単ですが、生活習慣を振り返って修正することが難しいのです。多くの人が、反省せずに、薬を飲むだけ。何も変えない。問題を先延ばしにするだけなのです。薬を飲んでいるのに治らない、薬が効かないのかなと不平を言います。でも、治らないのは生活習慣を修正しないからです。
そして、やがて三番目のカテゴリーの老化がやってきます。老化と病気が重なる時期がやってきます。
これら三つのカテゴリーは、人生の流れで、誰もが経験することです。
60才になっても、生活パターンが若い時のままの人は、病気をしながら老化を重ねるのです。
では、若さを保つにはどうすればいいのか?
自分の生活習慣と、それを支えている自分の考え方を、修正することです。
三つのカテゴリー全部に共通している大きな要素、まず食事について考えましょう。
食事とは、つまり栄養の取り方です。
オーガニックの食事なら良いだろう、と考える人がいます?
オーガニック食品を食べながら、毎日お酒を飲む。これでは、いくらオーガニック食品を食べても身体の酸化は進みます。
ですから、オーガニックの前にチェックすることがあります。
それは、まず、食べ方です。
早食いの人。夜遅く食事をする人、食べ過ぎる人は食べ方が間違っています。
急いで食べると脳と胃腸の準備が整いません。
夜遅く食べると、血糖値が朝まで高くなります。
食べ方の基本は、ゆっくり、味わって、食べることが基本です。
食事とは、考え方、栄養素、身体機能の全てが表現される舞台です。
ですから、楽しくゆっくり食べることが基本です。
食事の仕方は、脳トレーニングであり脳の現状なのです。
食事の内容と態度に、私たちの脳の状態が反映されています。
自分の脳で素早く食べようと思っているから、急いで食べるのです。
食べ方を決めているのは自分の脳であって、忙しいからじゃないのです。食事の仕方から生活のパターンまで、決めているのは自分の脳です。
全人生を通して、身体を作る栄養素は食事から取ります。その栄養の内容が重要です。栄養が身体(細胞)を作る素材です。
食べすぎるとか、甘いものが好きだとか、栄養が偏るのは心理的な問題が起因している場合もあります。肥満の人は少食が難しい。糖尿病の人はご飯が大好き。アル中の人は酒を死ぬほど飲みたがる。これは他の動物にはない人間だけの心理です。心理的なこと、つまり脳の状態は、食べ方に深く関係しています。
若い時は、たくさん栄養を摂ると元気になります。
病気と違って、老化は、栄養を取って健康に気をつけていても、避けられません。
ですから、若さを保つのは人生の大きなテーマであり、決して簡単なことではないのです。
若く見せるため化粧品を買う。精がつくように鰻を食べる。お酒を飲む。若さを保つには見栄えだとブランド品を買う、深酒をしながら栄養ドリンクを飲む、こういう寄り道は、人生の楽しみですが、本筋ではありません。
私が50年間患者を診療した結果学んだことは、若さを保つ秘訣は、食事、ホルモンレベル、抗酸化作用の3の条件を満たすことです。
そしてそれを支える精神力を養うこと。
それを理解するためには基礎知識が必要です。